『名所江戸百景』広重の描いた千代田区―わたしの散歩帳から
山本 勝美 著
五月書房 ISBN4772703845 2003/2 2,800円
「江戸開府400年記念」と銘打ち、広重「名所江戸百景」から現在の千代田区内に相当する各所が描かれた作品をピックアップ、現在の風景と比較しながら江戸-東京の風景の変化を探るという、バーチャル散歩+タイムスリップ趣向の本。
「江戸・東京歴史散歩好き」の人向けとしての切り口のユニークさはとりあえずあると思うけれど、しかし、雑誌の特集レベルの内容を豪華造本にして無理やり厚みを出しただけみたいな印象もぬぐえず(本文100ページに満たない)、「2800円」は割高感が強い。
副題も印象悪いですね。「あなたの散歩帳を2,800円で見せてくださるって、どこのなにさま?」みたいなことをつい思ってしまう。
<取り上げられている名所江戸百景図版> 紀乃国坂赤坂溜池遠景 糀町一丁目山王祭ねり込 霞かせき 外桜田弁慶堀糀町 山下町日比谷外さくら田 水道橋駿河台 神田明神曙之景 昌平橋聖堂神田川 筋違内八ツ小路 神田紺屋町 馬喰町初音の馬場 八つ見のはし 日本橋雪晴 |
「昌平橋にいって現在の写真を撮ってきたが、あいにく晴れていたため広重の絵とはずいぶん印象が違ってしまった」
みたいな、ほんとに個人的なことが書かれてたりする。
雨の日に撮りたかったのなら雨の日に出直して本にしてほしいもんである。
……とか、まあ、そういうつっこみどころのある本って、それはそれで面白いとは思うんですけどね。
コメント
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